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日々の独り言。
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今週の更新は在りません。
……負け犬にゃー。
でも何か書いたよ。

ハガレンステイナイト。番外編。
ホテル暮らし数日経過。ある夜のこと。




夜半。誰も居ないホテルのロビーの休憩所。
そこに甲冑が据えられていた。一見すれば単なるホテルの装飾品のようだけれども、それは装飾品のように壁に立つことはなく不自然にソファに鎮座している。人かとも思えど、そこに温度は感じられない。呼吸音も聞こえ無い。
鋭い人間ならば異様としか言えない光景。そんな場所に少女が一人現れた。静かに座っている鎧を見た金髪の少女は微笑みを浮かべ親しげに声を掛けた。

「こちらにいたのですね、アルフォンス」

最低限まで明かりの落とされた薄暗いロビー。応えるものなどいないと思われたその呼びかけに鎧が振り返る。

「セイバーさん。どうしたんですかこんな時間に」

時計を見れば幼い少女が起きているにはいささか夜も更けすぎている。鎧、アルフォンスは体躯に見合わない幼い挙動で首を傾げた。

「…少し、話がしたいと思いまして。隣、よろしいですか?」

「あ、はい、どうぞ」

アルフォンスがソファの端に寄り、空いたスペースにセイバーが並んで座る。大柄なアルフォンスの隣に座るとただでさえ小いさなセイバーはより小さく見えた。
でこぼこの影を並べて静かなロビーに二人きり。しばしの沈黙の後、セイバーが口を開いた。

「私は、貴方に謝らなければならない事があるのです」

「え?」

思いがけない言葉に驚いたアルフォンスが声を上げる。
夜気に晒され冷えた鎧の表面をセイバーが撫でた。その内側の空虚を思うように目を細め眉間に皺を刻む。

「初めて貴方に対峙した時、私は、貴方を単なる傀儡だと思い、…取り返しの付かない事をしてしまう所でした」

エドワードから聞いた、アルフォンスの事。鎧に定着した魂とそれを繋ぐ血印の重要性。
そうとも知らず安易に四肢を刎ねようとした自分が、アルフォンスという人物を知るにつれて恐ろしくなったのだ。何てことをしようとしていたのだろう。一歩間違えれば、彼は今頃―。

「どうしても、それを謝りたくて」

「そんな、良いんですよ。結果的には大事に至らなかった訳だし、初めて会ったときは僕たちも怪しまれても仕方がないくらいでしたから」

数日前の追撃を思い出したのか、くすくすと笑いながらアルフォンスがセイバーの懺悔をあっけなく許す。
ずっとつかえていた胸のしこりが無くなったような感覚にセイバーが息を大きく吸って吐いた。

「ありがとうアルフォンス」

「セイバーさんもわざわざこんな夜遅くに、ありがとうございます」

「いえ。…あぁ、もうこんな時刻ですね。アルフォンスも、そろそろ眠った方が良い。明日も早いのでしょう?」

不法入国者の見張り役としてエルリック兄弟は常に凜達と行動を共にせねばならない。明日も元の次元に戻るために、表向きは単なる買い物と称して、必要な道具や資材を探しに朝から街に出る予定だった。
その為に夜更かしは良くないだろうと言えば、アルフォンスは応えづらそうに口ごもってから

「この身体、眠らなくて良いんです」

静かに言った。
その意味に気付いたセイバーが小さく息を飲み、自身の失言に俯いてしまう。

「あ、あの、朝になったら兄さんを起こさないといけないからセイバーさんは先に寝てください。それと、何かあった時もすぐに報せますね」

僅かに逡巡して、セイバーが顔を上げた。
ソファの上に立ち上がり隣に座ったアルフォンスの耳元に内緒話をするように口元を覆いながら話しかける。

「アルフォンス、実は、私も眠らなくて良いのです」

え、と声を上げてセイバーを振り返るアルフォンスは秘密を打ち明ける少女の悪戯っぽい笑顔を見た。

「私は、本当は人とは違うものなんです。本来は食事も、睡眠も必要はありません」

「そんな、でもセイバーさんは」

「こちらの国では何と言うのでしょうかね。ゴースト、と言えば通じるでしょうか。…怖いですか?」

「いえ、そんな! 全然! だって、そんな風には全然…」

「…私は、凜に形作られた、本来有り得ないはずの存在なのです。詳しいことは、言えませんが」

呆気に取られたようにアルフォンスは言葉を失う。
凜には、この世界でのいざこざを避けるため自らがサーヴァントだという事は伏せておくようにと言われていた。あくまで人間として過ごすようにと。それは難しいことでは無かったが、それでもアルフォンスに告げたかった。

「だから、良かったらもっと話をしませんか? 眠れない夜は誰かといたい」

ソファに座り直しそう問いかければアルフォンスははにかむように、はいと答えた。

「そういえば、アルフォンスはどうしてこんな所に―」

 にゃあ
不意に聞こえた小さな鳴き声にアルフォンスがぎくりと身体を震わせた。板一枚間に挟んだ向こうから聞こえたような、近いのに隔たりのある距離からの声。
セイバーがじっとアルフォンスを見つめる。試しに鎧をこんと叩けば、みゃあと甲高い声が帰ってきた。

「セ、セイバーさん…っ。あっ!」

「少々失礼します」

素早く立ち上がったセイバーがアルフォンスの頭部を取り上げその鎧の内側の覗き込む。暗闇を注ぎ込んだような鎧の中に、二つの灯りが灯っていた。

「これは、仔猫………」

「ああぁあ…っ、その、さっき外で鳴いてて、今夜は寒いみたいだから、あの、可哀想で…」

鎧の淵に手を掛け身を乗り出して仔猫を掬い出す。キジトラのまだ小さな仔猫が甘えた声で鳴いた。セイバーが抱きかかえると居心地良さそうに喉をごろごろと震わせる。

「に、兄さんには内緒にしてて下さい。兄さん、もとの場所に戻してこいって言うんです。僕たちじゃ飼えないから、拾うなって」

「確かに、今夜は冷えますし、このまま外に出すのは可哀想ですね」

膝に乗せた仔猫を愛おしげに撫でるセイバー。みゃあみゃあと仔猫は声をあげ鼻先をアルフォンスの手の平に押しつける。

「お腹を空かせているようだ。何かあげられるものは…」

「っ、兄さんがお昼に食堂で残した牛乳が部屋にあります。持ってきますね」

「あ、待ちなさいアルフォンス! 貴方が行けば不審がられます。エドワードには内緒なのでしょう?」

食事を必要としないアルフォンスが牛乳など持ち出せば聡いエドワードはすぐに仔猫の存在に気付くだろう。先のアルフォンスの口ぶりからして、猫を拾うのは初めてではないようだし。
仔猫をアルフォンスに手渡し、ソファから立ち上がる。

「私が行きましょう。それならば気付かれることも無いはずです」

「ありがとうございます、セイバーさん!」

本当に嬉しそうな声にセイバーも嬉しくなる。
ひんやりとした鎧。けれどアルフォンスはとても暖かい。

「本当に、貴方は優しい人だ」

ロビーの入り口で振り返り、セイバーが微笑んだ。


***********

…頂いたお題は「アルフォンスの中の猫にキュンとなるセイバー」でした。
どこがやねん。
猫一瞬しか出てないやんけー…。

ホテル暮らししてしばらく経ってからある日の会話。これ以降、夜、皆が寝静まった後にアルフォンスとセイバーが毎晩語り明かしてたりするのです。ほのぼのー、と。…なに話してんだろう。
しかしセイバーはエドワードよりも小さいから、アルフォンスと並ぶと本当に身長差が凄そうですね。…イリヤと狂!? と言うことはアルフォンスの肩に座って「いっけー!」となるのですか! 可愛いじゃない…っ。
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